高城 剛さん イノフェス 「30年後の世界へ」まとめ(1) 中国パート INNOVATION WORLD FESTA 2018(2018/09/29開催)【2018/10/23更新】
2018/09/30(土)に行われたINNOVATION WORLD FESTA 2018(「イノフェス」)の高城 剛さんによるKEYNOTE SPEECHを生で聞いてきた。
会場は、六本木ヒルズのイノフェス・アリーナ。雨が降る中、立ち見が出るほどの多くのお客さんが入っていた。
まずは、冒頭から約12分間で話された冒頭部分と中国パートをまとめてみた。全約47分の講演。
なので、本記事は、講演の約4分の1、25%程度の分量。
高城 剛さんが観た30年後の世界
30年前のことを考えてみよう。スマートフォンができてから10年経った。
30年前は、スマホもないし、パーソナルコンピューターも普及していなかった。この30年で、①デジタル、②グローバルという観点で変化した。
未来学者や未来を志向する政治家に会ってきた。未来都市を観ていきたい。
高城 剛さんが観る北京
公害、環境問題が酷い。空が汚れていて、近くの建物が霞んで見えるような状況。一方で、太極拳や踊りも行われていて、市民のライフスタイルそのものは変わっていない。ただし、テクノロジーや街の外観が変わってきている。
中国の都市「中関村」(中国のシリコンバレーと言われている)を見てみよう。
中関村に関する参考記事>>>
今やガラガラのシャッター街になっている。パーツをオンラインで買う。
スマホがもはやイノベーションではない。新しいiPhone Xs Maxを買ったが、時価総額100兆円を超えているアップルがイノベーションを起こせていない。iPhoneを買えば、イノベーションを起こせるという錯覚をアップルが顧客に与えているに過ぎない。あのアップルでさえ、スマホでイノベーションを起こせていない。つまり、スマホではイノベーションは起きない。
緑のグラデーションの車のナンバープレート。これは電気自動車であることの証。普通の自動車とを区別するため。
高城 剛さんが観る中国の都市「雄安新区」
雄安新区という場所に向かった。世界で一番進んでいる未来都市。中国政府が本気で本気でエリアとして開発する地区。そのような地区は三つある。浦東(プードン)、深セン、雄安新区の三つ。
スマートフォンの次は何が来るのか? 人間の身体。ポストスマートフォンは、人間の身体である。
杭州は、次々に隣へ隣へと街を作っている。19世紀の街、20世紀の街、21世紀の街。
街にグランドデザインがある。
中国製造2025という標語を中国政府は掲げている。
当日のスライドでは、 19世紀の街、20世紀の街、21世紀の街それぞれの写真が大きなスクリーンに映し出されていた。東京の街のように、歴史が地域に縦に積み重ねられているというよりは、中国の雄安新区は、新たな地域が横に横に転換されている。広大な土地を活かした都市計画で、既存のインフラを気にせず、ゼロベースで街を作れるので、テクノロジーを導入しやすい。アフリカでなくとも、「リープフロッグ現象」を起こせる。日本においても、過疎化した地域であれば、同様のことが可能だ。
雄安新区に関する参考記事>>>
雄安新区に関する参考記事(中国語)>>>
中国共産党中央委員会と国務院による「雄安新区」のマスタープラン「河北雄安新区規画綱要」(2018年4月21日付)
以下のジェトロの記事によると、「対象地域は、河北省保定市の雄県、容城県、安新県を中心とした1,770平方キロで、水域と緑地の面積が全体の70%を占めるよう義務付けるなど「グリーン発展」を重視している」。2035年に完成。17年後だ。
「雄安新区」のマスタープランを公表 | ビジネス短信 - ジェトロ
このような変化のある地域を旅したい。
高城 剛さんが観る日中貿易摩擦
日中間の貿易摩擦、貿易戦争は、実は、知的財産権に関する戦争でもある。つまり、単に貿易だけの話ではない。次は、金融戦争が起きるはず。
イーロン・マスクのスペースXを支えているのは、実は中国企業。アメリカは、イーロン・マスクをよく思っておらず、SECが、イーロン・マスクを訴えたのもそれが背景。
実際、2018/09/26の日米首脳会談における共同声明には、下記のような記載があり、「第三国の非市場指向型の政策や慣行」として「知的財産の収奪、強制的な技術移転」が例示されている。
六、第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。
高城 剛さんが観るケンタッキーフライドチキンの新店舗K PRO
K PROというのは、ケンタッキーフライドチキンとアリババが作ったお店。当然、調理している人はいるが、レジの人など、顧客から見ると、無人に見える。
お客さんは現金を持っていない。スマホで支払う。スマホを持っていなくても、顔認証で支払いができる。
7割の屋台は、既に現金での支払いではない。屋台がどこまでイノベーションが進んでいるかを見ることで、その国や都市のイノベーションの進展度合いが分かる。
実際に、顧客に品物を出すのは、どのようになされているのだろうか? 気になる。
K PROはアリババの本拠地がある浙江省杭州市にあるようだ。
日本においても、注文を取るのは、人ではなく、機械になっている。タブレットが普及したせいもあり、消費者は、タブレット自体に馴染みがあるし、タッチスクリーンの操作も慣れているので、もはや違和感はないのだろう。
大戸屋も注文をタブレットで取るようになっているし、ユニクロや街中のスーパーでもレジが無人化し始めている。雇用は減る。
雇用が減ることが、ポジティブなのかネガティブなのかは、それぞれの立ち位置によって変わる。それによって、単にIT業界の需要が増え、IT業界が潤う以上に、新たな産業が生まれる予感がする。
参考記事>>>
参考記事(英文)>>>
以上
2018年9月30日公開
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